「認知症グレーゾーン」から戻ってきた人がやっている30のこと
「認知症グレーゾーン」から戻ってきた人がやっている30のこと
■「何かが違う……」と感じたら、対策を始めよう
認知機能とは、人間の「大脳」で行われている「記憶・理解・判断・思考・知覚・想像・推論」などの知的な機能全般を指しています。
認知機能は、「本人が気づかない間」に衰え始めます。衰えのスタートは、誰も気づくことができません。そしてある程度衰えが進んでから、ふと「何かが違う」と感じる瞬間が訪れます。
その時点で、「もしかすると認知機能が低下してきているのだろうか?」という疑問を抱くことができたら、それはとても「幸運」なことです。そこですぐに何らかの対策を始めたら、おそらく短い期間で認知機能を取り戻すことができるはずだからです。
ただし、この段階では多くの人が、「おそらく気のせいだろう」とか、「まだまだ大丈夫だろう」と高をくくり、それまで通りの生活を続けています。
そうしているうちに、もの忘れがだんだん多くなり、忘れたことをなかなか思い出せなくなったり、つまらないミスが続いたりするようになります。ここまで来ると、かなり高い確率で「認知症グレーゾーン(認知症予備群)」に足を踏み入れているものと考えられます。
その時点で、「これは明らかにおかしい」と気づくことができれば、やはりそれは「幸運」なことと考えるべきです。そこでしっかりと対策を始めて、コツコツ継続することができたら、かなり高い確率で認知機能を取り戻すことができるはずだからです。
もの忘れが激しくなり、日常生活で度々困ったことが起きるようになっても、そのまま何も変わらない生活を続けた場合、今度は認知症を発症してしまう確率が高くなってしまいます。全員がそうなるとは限りませんが、もしも認知症を発症してしまったら、現在の医学では、これを完全に治すことはできません。
本人が努力し、家族も協力し、少なからず治療費もかけて、「進行を遅らせる」のが精一杯です。
そして最悪の場合、思い出も何もかも忘れ、家族や友人の顔さえわからなくなり、自分がどこにいるのかもわからなくなってしまいます。なかには幻覚を見るようになる人もいます。さらに徘徊して行方不明になったり、家族が世話をしきれなくなって施設に入ったりする未来が訪れるのです。
私はそうなってしまう方を1人でも減らしたいと願い、クリニックを開院して患者さんの早期治療に努めたり、本を出版して「少しでも早く治療を始める重要性」を訴えたりしてきました。とにかく認知症グレーゾーンに留まっている間に、1日でも早く対策を始めれば、悪化を防ぐことができるからです。正常な状態に戻ることも可能だからです。
厚生労働省の最近の報告(後述)では、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)から認知症に進んでしまう人の割合が、少し減っている可能性があります。超高齢社会の到来とともに、認知症が大きな社会問題となり、認知症を発症する前に早期に予防する考え方が、だんだん広まってきているものと考えられます。私はここに希望を見出したいと思っています。
昔の認知症治療は、現在の状況とは異なっていました。認知症の前段階では保険治療ができないために、「認知症を発症してから治療を始める」ケースが少なからずあったのです。しかし、何度でもいいますが、いったん認知症を発症してしまったら、今の医学でも治すことはできないのです。患者さんやそのご家族のことを本気で考えるなら、「認知症の手前で対策を打ち、認知症を極力発症させないこと」を最優先するべきです。
もちろん認知症にならなくても、人はいずれ老いてこの世を去ります。だとしたら、認知症になって困った状況に陥るのを可能な限り回避できるように、1日でも早く予防に取り組んだほうがいいに決まっています。
そしてできるだけ多くの人が「通常の老化」の範囲で長生きをして、最期まで楽しく、本人も家族も幸せに暮らしていただきたいと願っています。
繰り返しますが、認知症グレーゾーンにいる間なら、戻ってくることができる可能性は十分にあります。希望をもって、「今日」から有効な対策に取り組んでいただきたいと思います。それが認知症に至らないための最良の方法なのです。 (「はじめに」より)
著者:広川慶裕
縦:25.7×横:18.2 全頁数:144ページ
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