帯状疱疹は自分で防ぐ! こうして改善できる!
帯状疱疹は自分で防ぐ! こうして改善できる!
「50歳を過ぎたら、帯状疱疹のワクチンをおすすめします」
そんな言葉が、テレビなどのマスメディアを通じて啓発される機会が増えました。コマーシャルで見聞きされている方も多いでしょう。
少し前まで、「帯状疱疹」という病名は、一般にほとんど知られていませんでした。そのため、帯状疱疹の初期症状である皮膚に痛みを感じた人が、内科や整形外科を受診し、湿布薬などを処方されて治療が遅れるケースが多くありました。
これは決して内科や整形外科の先生たちが悪いのではなく、帯状疱疹を専門に診療する皮膚科の医師であっても、皮膚症状が現われるまで帯状疱疹と確定診断できないのが現状です。
ですから、帯状疱疹の予防に努めましょうという啓発活動が盛んに行なわれるようになったことは、皮膚科の医師として、とてもうれしく思っています。
帯状疱疹の予防が近年になって注視されるようになった背景には、社会の高齢化が深く関係しています。
帯状疱疹を発症するしくみは本文で詳しく説明しますが、もともと幼少期にかかった水ぼうそうのウイルスが体内に残っていて、それが加齢に伴う免疫力の低下により再び活性化してしまうことが原因となります。
水ぼうそうのウイルスが体内に残っていても、40―50年は体に備わっている免疫力(病原体を退ける力)で封じ込めることができます。そのため、ひと昔前までは、帯状疱疹を発症する前に寿命を全うする人が多く、帯状疱疹で医療機関を受診する人は稀でした。
しかし、日本人の平均寿命が男女合わせて約85歳となった現在、子どもの頃に水ぼうそうにかかった人が、体内に残存していたウイルスによって帯状疱疹を発症するケースが増大しています。
50歳を過ぎると帯状疱疹の発症率が増え、80歳までにおよそ3人に1人が帯状疱疹になると言われています。
水ぼうそうのウイルスというと、「たいしたことない」と思う人も多いでしょう。たしかに子どもの頃に水ぼうそうにかかったときは、軽症で済む場合がほとんどです。しかし、50歳を過ぎてから帯状疱疹を発症した場合は、帯状疱疹は短期間で治癒しても、後遺症の「帯状疱疹後神経痛」という厄介な痛みに悩まされるケースが少なくないのが問題です。
50歳以上で帯状疱疹を発症した人のうち、およそ2割に帯状疱疹後神経痛が起こると言われています。重症の人では痛みが消えるまでに数年単位の歳月がかかり、そのストレスで仕事をやめざるを得なくなったり、家に閉じこもりきりになったりする人も少なくありません。高齢の人では、「寝たきり」につながる重大リスクにもなります。
帯状疱疹を発症した場合、早期に専門の医療機関で治療を受けることが先決です。ただし、帯状疱疹およびその後遺症である帯状疱疹後神経痛の治療に使われる薬は、効果が強い反面、体に負担が大きいのも事実です。
そこで、薬による治療が基本としても、患者さん自らが免疫力を高めるセルフケアに努めることにより、帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の予防・改善が容易になることをお伝えしたく、本書を上梓しました。
帯状疱疹後神経痛につながりやすい危険因子として、次のようなものが知られています。
●女性である。
●タバコを吸っている。
●はっきりした激しい前駆痛(皮膚の痛み)がある。
●皮膚症状が重い(水ぶくれが大量にでき、広範囲に及んでいる。血の色をした水ぶくれがある)。
●刺激に対して敏感になる。あるいは鈍感になる。
●糖尿病や免疫不全につながる持病がある。
以上の因子に一つでも当てはまる人は、皮膚科での治療とともに、ぜひ今日から、本書のPART3で紹介するセルフケアに努めていただきたいと思います。
なお、帯状疱疹の発症に対しては、薬剤を用いた適切な治療が第一ですが、「薬に頼りすぎることなく」毎日のセルフケアでみなさんの「免疫力」の維持・向上を図っていただくことも、また大切だと思っています。
本書の内容が、帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛によるつらさや不安を解消、軽減する一助となることを願っています。 (「はじめに」より)
著者:本田まりこ
縦:21×横:14.8 全頁数:120ページ
重量246g厚さ0.9cm
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