「ひざ関節液」よみがえり体操
「ひざ関節液」よみがえり体操
■手術をしないで関節液をよみがえらせる!
ひざ関節は人間にとって、とても重要な関節です。ところが私たちは、ひざが痛くなってからでないと、ふだんその重要性を意識することはあまりありません。
どれくらい重要なのかというと、ひざ関節は、自分の体重を支えながら「立つ」「歩く」という基本中の基本の動作を担っています。あたりまえですが、人間は「立って歩ける」からこそ、ふつうの生活を送れるのです。「ひざの健康が生活の質を保証している」といっても過言ではないでしょう。
日ごろ、あまり意識していなかったとしても、私たちはひざ痛に悩む中高年が非常に多いことを知っています。なにしろ日本人の5人に1人がひざにトラブルを抱えており、ほとんどの人の身近に「ひざが痛い人」がいるはずだからです。ある程度年齢を重ねると、ひざの健康の大切さは、多くの人が理解しています。
わかっていても、なお多くの人がひざを痛めてしまうのは、たとえば「変形性ひざ関節症」は長い年月をかけて少しずつ進行するため、初期の段階で十分に対応できていないことが多いからかもしれません。ましてや家事、子育て、仕事などで忙しい働き盛りには、少しくらい痛くてもガマンして頑張ってしまう側面もあるでしょう。
どちらかといえば、ひざのトラブルは女性に多い傾向があります。男性のほうが筋力があり、女性のほうが筋力が弱いから痛めやすい、という考え方もありますが、私は必ずしもそうではないと考えています。
たとえば若い女性には内股の人が多く、その状態では歩きにくいため、ひざから下がだんだん外側にねじれていく「内股O脚」が、ひざ痛の原因になっていることがあります。高齢女性の場合、ひざをまっすぐに伸ばすことがほとんどなく、曲がったまま生活しているため、ひざのお皿とつま先が外側を向いたO脚になり、これがひざ痛の原因になっていることもあります。いずれも女性は「O脚」からひざ痛につながるケースがたいへん多いといえるでしょう。
体重が重い人のほうがひざを痛めやすいともいわれます。体重が軽いほうがひざの負担が少ないのは間違いありませんが、体重が軽くてもひざ痛になっている人はたくさんいるので、体重だけで決まるわけではありません。それよりもむしろ、「背筋が伸びているかどうか」といった「姿勢」の問題のほうが大きいといえます。
年齢でいうと、若い人でもひざを痛めることがありますが、傾向としては55歳を超えると人数がぐんと多くなります。本文でも述べますが、たとえば「変形性ひざ関節症」は、長年の運動不足によって太ももの内側の筋肉が衰え、ひざの外側の筋肉にひっぱられてO脚が進むことで発症するケースが多いのです。
職業でいうと、常にひざを曲げている歌舞伎役者や日本舞踊などの先生にひざ痛の人が多く、クラシックバレエの先生にはあまり見られません。
怖いのは、ひざ痛が悪化してロコモティブシンドローム(運動器の障害のため要介護や寝たきりになるリスクの高い状態)になってしまうことです。ひざが痛い人は首も腰も痛めていることが多く、3人に1人はロコモになるといわれています。
「変形性ひざ関節症」で痛みが起こるプロセスを簡単にいうと、骨と骨とのすき間が狭くなり、ひざの潤滑油の役割を果たしている「関節液」が枯渇して、ひざ痛が起こります。私の治療方針は、まず保存療法(手術を行わない治療法)を徹底して行い、関節液をよみがえらせます。クリニックでたくさんの患者さんを治療してきた経験から、保存療法で大半のひざ痛は克服できることがわかったからです。
この本では、そのための体操をたくさん紹介していますので、ぜひトライしていただきたいと思います。あなたのひざ痛が改善することを心から祈っています。 (「はじめに」より)
酒井慎太郎
縦:21×横:14.8 全頁数:128ページ
重量206g厚さ0.9cm
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