薬に頼らずガス腹を解消! 女性のための「ガス抜き」これだけポーズ
薬に頼らずガス腹を解消! 女性のための「ガス抜き」これだけポーズ
「腸活」ブームと言われる昨今、「おなか(腸)を整えて、美しくなりましょう」「健康になりましょう」という言葉が、世の中を席巻しています。そして、さまざまな「腸によい食べ物」がマスコミやSNSで取り上げられ、脚光を浴びています。ヨーグルト、チーズ、納豆などの発酵食品、あるいは食物繊維の豊富な根菜類はその代表です。
しかし、実はブームの陰で、「おなかによいと言われている食品を、毎日たくさん食べているのに、おなかの調子がちっともよくならない」―そんな切実な悩みを抱え、私のクリニックを訪れる女性が急増しています。
おなかの調子がよくならないどころか、「ヨーグルトを毎日食べていたら、下痢が止まらなくなった」「納豆やゴボウをたくさん摂るようになってから、便秘がさらにひどくなった」「おならがたくさん出て困っている」「妊娠中みたいにおなかがパンパンに張る」と訴える方も多くいらっしゃいます。
いったいどうしてなのでしょうか?
おなかの不調は、大きく2つに分けられます。
ひとつは、ポリープやがんのように、大腸内視鏡などの通常の画像検査で確認できる疾病が原因で不調が起こっているものです。これは「器質性疾患」と呼ばれ、すぐに治療が行なわれます。
もうひとつは、本人はおなかの不調を自覚しているのに、通常の画像検査では異常が認められないもので、こちらは「機能性疾患」と言います。腸活ブームの裏側で増えているのは、まさにこれです。
後者は、医療機関で受診すると、たいてい「過敏性腸症候群」と診断されます。
しかし、診断名がついたとしても、「要は、気持ちの問題ですね」といったひと言で片づけられることも多いようです。
実際には、本文で詳しくお話しするように、日常の生活習慣が深く関わっているものが大半を占めます。結論を先に言うと、腸活で「おなかによい」と推奨されている食品の中に、おなかの不調の原因となるものがたくさんあるのです。先に挙げたヨーグルトや納豆、根菜類も、それに該当します。
発酵食品や食物繊維の豊富な食品が、おなかの調子を整えるうえで有効なのは確かです。問題は、それが「『誰にでも当てはまる』というわけではない」という点です。
もともと、ガス(おなら)が溜まりやすい方や、おなかのハリ(ガス腹)に悩んでいる方、便秘と下痢を繰り返しているような方にとって、発酵食品や食物繊維の多い食事は大敵で、かえって症状を悪化させる原因になってしまうということが、欧米の著名な大学での数々の研究で明らかにされているのです。
そのことを10年以上前に知った私は、おなかの不調に悩んでいる人に広く知っていただくために、『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』(さくら舎)という本を上梓しました。
最初はなかなか信じてもらえずに苦労しました。取材に来られる記者の方たちも、「ヨーグルトはおなかによいと、ずっと言われていますよ」「納豆やリンゴでおなかが不調になるなんて、聞いたことがありません」といった感じで、彼らがよく理解できていなかったことを覚えています。
それでも、世界的に多くの科学的な根拠(エビデンス)が揃っていましたから、私の信念は揺るぎませんでした。なにより、おなかの不調で苦しんでいる人たちが間違った「腸活」でさらに体調を崩している日本の現状をなんとかして改善することが医師としての急務と考え、発酵食品や食物繊維のリスクについて発信し続けました。
すると、私の話に興味を持って食生活を改善した方たちから、「ヨーグルトをやめたら下痢がピタッと止まりました」「ずっと悩んでいたおなかの不調が改善されました」という喜びの声が、お手紙や書籍への感想などを通じて、続々と寄せられるようになりました。これは本当にうれしかったですね。遅れていたのは、日本だけだったのです。
そうした方たちの声が追い風となり、マスコミの方たちも理解してくださるようになって、全国の新聞や書籍のほか、テレビ番組でもお話しさせていただく機会も増えました。
近年は医師の中でも、おなかの不調を訴える患者さんに対して、私の著書を薦めてくださる先生がたくさんいらっしゃいます。日本の診療ガイドラインにも、この食事法が記載されました。
実は、内科医にとっては、腸に著しい異常が認められないのに、ガスが溜まる、おなかが張る、便秘・下痢を繰り返す、という声は、「なるべく患者さんから聞きたくない訴え」の最たるものでした。
なぜなら、明らかな原因や効果的な治療法を理解している医師がきわめて少ないからです。患者さんのつらそうな様子はわかっても、治療薬はおろか、効果的な手立てもない。医師にとっても悩ましい症状のひとつだったのです。
私自身、本書で紹介する「低FODMAP食事法」やポーズを知るまでは、おなかの不調を訴えて来院される患者さんに対し、治療に苦慮する場面もありました。
それでも、「命に関わらないから大丈夫」といった無責任な受け止め方だけはしませんでした。患者さんたちが本当に困っていることが、その必死の訴えから伝わってきましたから、どうすれば解決できるだろうとずっと模索していました。そうした中で、効果的なエクササイズやストレッチ、「低FODMAP食事法」が突破口となったのです。
おなかの不調に対する日本の医療は、昨今かなり変わったと思います。
それでも、間違った腸活の影響で、おなかの不調を訴える人が増えていることは、冒頭で述べたとおりです。現在もなお、自分のおなかの不調を、「生まれながらの体質」「自分の気持ちの弱さ」と考え、悩んでいる人がたくさんいらっしゃいます。
そうした方たちに、「おなかの不調は、あなたのせいではありませんよ」「セルフケアで治せます」とお伝えしたくて、本書を上梓した次第です。
PART1では、おなかの調子が悪くなる仕組みや原因について説明します。PART2以降では、「低FODMAP食事法」と、おなかの調子を整えるポーズやエクササイズ、その他の習慣術について具体的にお話ししていきます。
おなかの調子がよくなれば、今まであきらめていたことにどんどん挑戦したくなるはずです。「人生が一変しました」というお手紙をくださる患者さんもたくさんいらっしゃって、みなさん見違えるように元気になられます。
本書の内容が、おなかの不調で悩んでいる一人でも多くの方々の救いになれば、これほどうれしいことはありません。 (「はじめに」より)
著者:江田 証
縦:21×横:14.8 全頁数:144ページ
重量162g厚さ1cm
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