脂肪肝は善玉菌を増やす「腸回復」で改善できる!
脂肪肝は善玉菌を増やす「腸回復」で改善できる!
健康診断や人間ドックで『脂肪肝』と診断されても、それほど深刻に受け止める人は多くないと思われます。「最近ちょっとお酒を飲みすぎたかな?」くらいの感覚で、放置している人も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
実は近年の研究で、脂肪肝とひと口にいっても、発症した原因や背景因子により、進行の仕方が大きく異なることがわかってきました。
脂肪肝というと、お酒をよく飲む人に起こりやすい印象が強いと思いますが、近年はむしろ、「飲酒量の少ない、他の肝臓病もない」タイプの脂肪肝が、日本を含む先進諸国を中心に全世界で急増し、“21世紀の肝臓病”として注目を集めています。「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)(ナッフルディー)」と呼ばれる脂肪肝です。
NAFLDの中には、命を脅かす“危険な脂肪肝”が存在します。“危険な脂肪肝”を放置すると、これといった自覚症状のないまま、肝硬変や肝臓がんに進展したり、さらには心筋梗塞・脳梗塞、慢性腎臓病、糖尿病のほか、大腸がん・乳がんなどの各種がんの発症にもつながりやすいことが知られています。
つまり、脂肪肝というのは実は「万病のもと」であり、脂肪肝と診断された場合は軽視せずに適切に対応していただきたいというのが、消化器内科医であり、肝臓を専門とする私の願いでもあります。
危険な脂肪肝を見分けるポイントは、「肝臓の硬さ」です。脂肪肝というと、肝臓にたまる脂肪の量ばかりが注目されがちですが、実際には脂肪の蓄積量より、肝臓が硬くなることのほうがハイリスクであることがわかっています。
肝臓を硬くする最大の原因は「メタボリックシンドローム」です。メタボリックシンドロームの各因子(内臓脂肪型肥満、脂質異常症、高血圧、高血糖)が、肝臓に多大な悪影響を及ぼし、やがて全身をむしばんでいくのです。
そこで数年前から、メタボリックシンドロームの因子を背景に持つ脂肪肝については、飲酒歴や他の背景肝疾患の有無に関係なく、すべて「MAFLD(マッフルディー)(代謝異常関連脂肪性肝疾患)」という新たな概念でひと括りにし、有効な治療につなげていこうという動きが、世界の消化器内科や肝臓専門医の潮流となっています。
そうした脂肪肝に関する新しい情報を、患者さんはもとより、他科の医師との間でも充分に共有できていないことが脂肪肝に対する危機感を弱め、“危険な脂肪肝”の急増につながっていることを痛感し、今回、本書を上梓することにしました。
ただし、MAFLDという概念は確立してから歴史が浅いため、MAFLDに関するエビデンス(科学的根拠)は充分に揃っていません。他方、MAFLDと同様に、メタボリックシンドロームを背景因子として発症・進展するNAFLDの研究は進んでいることから、本書ではNAFLDの話を中心に取り上げていきます。
NAFLDとMAFLDは異なる疾患概念ですが、重なる部分が多く、どちらも“危険な脂肪肝”を含んでいることは共通しています。そして、“危険な脂肪肝”であっても、早期に発見し、早期に対処することにより、健康な状態に戻すことが可能です。
NAFLD、MAFLDにかかわらず、“危険な脂肪肝”の予防と改善の最大のカギを握るのが「腸」です。
肝臓は腸管から真っ先に血液が流れ込む臓器なので、腸内環境の影響をダイレクトに受けます。腸内環境が乱れていれば脂肪肝を悪化させる重大因子になる一方、腸内環境をよい状態に保つことが、脂肪肝の予防と改善の決め手となります。
本書では、脂肪肝とはどういうものかを説明したあと、脂肪肝の進行レベル(肝臓の硬さ)を自分でチェックできる方法や医療機関での検査法、さらには腸内環境を良好に保つ生活習慣および最新の治療法などについて紹介していきます。
脂肪肝に対する正しい知識を持っていただき、その予防と管理に努めることが、人生100年を豊かなものにするうえで非常に大切となります。本書の内容により、一人でも多くの人が、その恩恵に与ることができれば、本当に嬉しく思います。 (「はじめに」より)
著者:冨田謙吾
縦:21×横:14.8 全頁数:136ページ
重量232g厚さ1cm
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