プランターひとつで1年中おいしい! 季節の野菜づくり
プランターひとつで1年中おいしい! 季節の野菜づくり
最近はわからないことがあっても、何でもインターネットで検索し、すぐに解決できてしまいます。お金も時間もかからず、効率的ともいえます。野菜づくりも「○○の育て方」と検索すれば、くわしく書かれた記事をすぐに見つけることができます。何か問題が起きても、クリックひとつで答えを探すことができます。
ところが、ネットで調べた「○○の育て方」はいっこうに覚えることができません。必要なときに検索すればよいので、ちっとも身につかないのです。答えを先に知ってしまっては、「なぜこうなるのか」と疑問にも思いません。何かを育てるうえで大切なことは「なぜ?」と考えること。それは生き物を相手に、自分とは違う考えや行動を理解しようとする気持ちが必要だからです。
料理や家具の組み立ては、レシピや説明書通りに行えば、見本と同じものができ上がります。しかし、植物は見本と同じものは決してできません。なぜなら命をもった生き物だからです。タネの一つひとつに命があり、個体ごとに性格が異なります。なのに、スーパーに並ぶ野菜は、色も形も大きさもほぼそろっています。それは高い技術を持った農家の方が、スーパーの商品基準に合わせてつくっているからです。
家庭菜園においては、植物の成長に合わせて手入れをして、自分たちがおいしく食べられれば、それでよいのではないでしょうか。重要なのは、「育て方」より「育ち方」。植物それぞれの成長を見守り、一緒に暮らして生活を楽しむことなのです。
本書では、野菜の育ち方に合わせて、育て方を考える書き方になっています。いつごろに花が咲き、果実の肥大が始まるときはいつごろなのか、そのときに何をすればよいのかなど、成長の様子を想像したり観察したりしながら、繰り返し読んでみてください。二作三作と栽培を続けるうち、読み方も変わってくると思います。きっと見えてくる世界が変わってくるからだと思います。
野菜づくりは自然相手。栽培を始めると、毎日天気予報が気になるようになります。週末にタネまきをしようか、追肥をするかどうかを悩むようになります。ここ数年は気候変動に植物が敏感に反応し、育ち方が変わってきているのを感じます。毎年同じものを育てても、同じようには育ちませんからね。私は毎回、環境の変化に順応する植物の生き方から多くのことを学び、自分の生き方も変わったように思います。
きっと本書を手に取ってくださったあなたも、タネをまいたその日から、昨日とちょっと違う、ワクワクするような毎日に変わるはずです。ぜひ、太陽のもとで、風を感じ、土の温もりに触れ、あなたの手の中から小さな命を大きく育ててください。最初から欲張ってもいいけれど、まずはひと鉢から。無理をせず、できることからやってみましょう。あなたの菜園生活を勇気づける一冊になれたら嬉しく思います。 (「はじめに」より)
著者:深町貴子
縦:25.7×横:18.2 全頁数:128ページ
重量298g厚さ1cm
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