発達障害の子が自立するために身につけておきたい大切なこと
発達障害の子が自立するために身につけておきたい大切なこと
私が医師になってから、およそ40年の日々が流れました。そのうちの多くの時間に、障害を抱えた子どもたちや大人の方と関わってきました。つい子どもの時期ばかりを見てしまいがちですが、子どもの時間はたった20年間しかありません。
そこでできることを「ちゃんと」しておくことが、その後の大人の50年間を支えます。「自立」とは、社会で独り立ちをして生きていくことですが、それは税金で養われるのではなく、税金を払って生活する立場になろうということでもあります。
自立という明確な目標を、せめて頭の片隅に置きながら、子どもに接していきたいと考えています。もちろん、思うように自立できない場合もあります。それでも「大人になったときの時給や賃金を10円でもいいから高くするよう、いろいろな練習をしてみましょう」とお話ししています。たかが10円でも、50年ともなれば大きな違いです。
子育てには、誰しも考えるように愛情が欠かせません。しかし、愛情だけで子育てをしようとしても、行き詰まってしまうことも、うまくいかないと感じてしまうことも、感情的になってしまって混乱することもあります。そんなときこそ、具体的にどう対応するかを考えて実行する「技術」の出番です。
子育てには、愛情だけではなく実は「技術」も必要なのです。さまざまな障害を抱えた子どもたちを診ていると、いろいろなアイデアが湧いてきます。そうしたアイデアのヒントは、子どもたちやその保護者の方から頂いていることが多いのですが、それらのアイデアや考え方、技術は、実は障害を抱えていてもいなくても、どんな子育てにも共通して有効なものが少なくありません。
最近は、発達障害を抱えた子どもたちを診ることが多いのですが、そこで見られるさまざまな症状を改善するためには、何をどう具体的にするかを考えて、家庭で何ができるかを少しでもお伝えするように努力しています。単に「がんばりましょう」ではなく、具体性が必要です。
「発達障害を抱えていれば、専門家にしか対応はできないのか?」と聞かれることもよくありますが、そんなことはありません。もちろん、専門家の手助けを必要とすることはあるかもしれませんが、基本は、まずは家庭や幼稚園・保育園・学校など日々の生活の中で「できることを増やし」「将来の自立につなげること」です。
繰り返しますが、これは障害を抱えていてもいなくても同じですし、誰にでも練習すればできることだと思いますので、それをお話ししていきます。 (「はじめまして」より)
著者:平岩幹男
縦:21×横:14.9 全頁数:192ページ
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