おうちでモンテッソーリ子育て
おうちでモンテッソーリ子育て
ルネサンスの画家ラファエロを始め、西洋画の巨匠達が好んで描いた聖母子像。聖母はいつも穏やかな微笑みをたたえています。日本においても、いわさきちひろさんや林明子さんなど、お母さんと子どもを描く絵本では、お子さんを優しく見守りいとおしむお母さんが描かれます。
私たちの心の中の「理想のお母さん」は、笑顔で子どもを包んでいるのです。
しかし現実は、そううまくいかないようです。
私がしっかり育てなくちゃ、と思うあまり、些細なことまで口を出してしまう。他の子と比べては、お子さんの遅れているところばかりが目について気になって仕方がない。ご主人やご両親からの、「いい子」に育てることを期待するプレッシャー。それに応えられない焦り。その八つ当たりのようにお子さんをしかり、泣くお子さんを見てますます昂る感情と自己嫌悪との間で引き裂かれそうになり……。育児は修羅場であり、とても楽しいなんて思えない、というお母さんが多いのではないでしょうか。
「子どもには幸せな人生を歩んでもらいたい」。全てのお母さんの願いです。それならば、まずお母さんが幸せになりましょう。肩の力を抜いて、楽になりましょう。育児は、お母さんが気負ったり、力んだり、眉間にしわを寄せたりしないほうがうまくいきます。この世に誰一人「完璧な人間」がいないように、完璧なお母さんなど現実の世界にいるわけがないのです。
子どもは幸せな大人に向かって育っていく力を持って、生まれてきます。お母さんは、その力が健やかに発揮できるように、お子さんを助けてあげるだけでいいのです。
モンテッソーリ教育といえば、ピンクタワーに代表される「教具」が知られておりますが、モンテッソーリ=教具、ではありません。大人が子どもをどう見るか、どう助けるか。その見方、助け方こそがモンテッソーリ教育の本質です。
その考え方をご理解いただければ、子どものそばにいることが楽しくなります。そうすると、そんな大人のそばにいる子どもも楽しくなります。この本を読んでくださったお母さんに、笑顔で育児を楽しんでもらいたい。お子さんと、明るく穏やかな時間を過ごしてもらいたい。そしてお子さんには、愛と笑顔に満たされた空気を吸って育ってもらいたい。これが、私の願いです。
本書は、まず冒頭のカラー口絵で、モンテッソーリ教育の現場をご紹介します。その一例として、私が働いている吉祥寺こどもの家の子ども達の様子や環境をご覧いただきます。
1章では、モンテッソーリ教育の概要と基本的な考え方をご説明します。子どもの育ちの見方、助け方をご理解ください。
2章には、ご家庭で無理なく実践していただける活動のヒントを、イラストとともに掲載しました。
3章は、ご家庭でお子さんと過ごす際に心がけていただきたいことを、お母さんの悩みにできるだけ応えられるようにまとめました。
お子さんと、明るく楽しい時間を過ごしていただくための本です。リラックスして、楽しんで読み進めていただけますと幸いです。 (「はじめに」より)
百枝義雄(吉祥寺こどもの家園長)
縦:18.8×横:12.9 全頁数:144ページ
重量212g厚さ1cm
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