高校生で出会っておきたい73の言葉
高校生で出会っておきたい73の言葉
■「視界がひろがっていく快感」
これは、『中学生で出会っておきたい71の言葉』『高校生で出会っておきたい73の言葉』という2冊シリーズのうち、高校生に向けて書かれたものです。
大人でも子どもでもない高校時代は、精神的にも身体的にも非常に中途半端な時代です。若さが持つ不定形のエネルギーに翻弄されていることでは中学時代とそれほど変わりがありませんが、「社会」が中学時代よりも少しだけ近いところにあるせいで、将来に対する理由のない不安が具体的になってくるような気がします。
私の高校時代は、受験勉強そっちのけで部活と友だちづき合いに明け暮れた日々でした。生徒自治会が力を持っていたせいか文化祭などの学校行事が活発で、学生がそれに費やす時間と労力は半端ではなく、一年は毎年それこそまたたく間に過ぎていきました。それでも学区外の少し離れた町から通っていた私は、ひとりで過ごす通学時間を毎日まとまって取れることで、自分自身を取り戻していたような気がします。
表現の仕事につくことを決めていて、それを折にふれ口に出すことで自分をあともどりできなくするような、こと自己実現に関しては積極的な感覚を私は持っていました。だからといって夢の実現は確約されているわけではなく、両親の理解も得られることないまま人並みの不安にさいなまれていた当時、この本にあるような言葉たちに出会えたら、もう少し気持ちが楽になっていたかもしれないと思います。
言葉は、瞬間で胸にすとんとおさまるものと、聞いたそのときはわからないままなぜとはなしに気になって、あとあと腑に落ちるものとの2種類がありますが、後者のほうがより大切でしょう。不可解さを切り捨ててしまわずに問いかけとして持ち続けることで、理解できたそのときにとてつもなく深いよろこびをもたらしてくれるからです。そのよろこびは、視界が拡張して自由になっていくような快感とも言えるし、世界が深まって自分が練れていくような感動でもあります。
収録されている名言名文に、実はあまり有名なものは含まれていません。誰もが知っている金言の陰の、かくれた言葉のほうに作者の真実がひそんでいることがあります。そんなねらいが、通りいっぺんの名言本にはない味わいとなっていることを願っています。
中学生版と同様、この書籍は、とくに母親の紹介によって子どもたちの手に渡る場合がほとんどでしょう。成長途中であことは人間である限り大人たちも変わらないということを思えば、ここには大人にとっても気になる言葉があってほしいと思います。
子どもの心身の激しい変化に家族はとまどいがちな時期ですが、この本にある言葉たちが小さな端緒になって親子の会話がはじまったり、互いの理解がささやかでも深まったりしてくれればお届けできた甲斐があります。
縦:21×横:14.9 全頁数:152ページ
重量368g厚さ1cm
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